【分析】”IPOのカラクリ” IPO愛好家に届かない公開株!!

【№1386】

<strong>冒険者</strong>
冒険者

IPO愛好家に届かない公開株があるのですか?

<strong>大賢者</strong>
大賢者

IPOにもカラクリがあるのじゃ!!

はじめに

 上場承認されたIPOの詳細は、目論見書・有価証券届出書(新規公開時)に記載されていますが、手っ取り早くIPOの概要(スケジュール・公開株数等)を確認するには、日本取引所グループ(JPX)の新規会社情報の会社概要(PDF)でわかります。管理人も、これらの情報を基に記事をアップしています。

もう一つの貴重な情報としては、日本証券業協会から公開される「新規公開に際して行う株券の個人顧客への配分状況」があります。これは、IPO別に・証券会社別に・抽選配分・裁量配分がどれだけあったのかがわかる本当に貴重な情報です。

この「新規公開に際して行う株券の個人顧客への配分状況」を詳細に調べていくと、たいへん面白いことがわかります。それは、「公開株数と個人への配分の差」です。

2022年2月17日に、グロース市場へ上場した”エッジテクノロジー”(4268)で説明します。
・公開株数 : 3,116,500株 ※単元数にすると、31,165本
・個人への配分実績 : 20,249本 ※個人とは、抽選配分・裁量配分された個人のこと

差が 10,916本もあります。もう少し、詳細に見てみましょう。 

公募株数と個人への配分総数

エッジテクノロジー 割当株数と個人への配分総数

証券会社 割当株数 割当率 単元数 個人への配分総数
日興(主) 2,493,400 株 92.0% 24,934 本 18,530 本
野村(平) 135,500 株 5.0% 1,355 本 1,063 本
SBI(平) 48,700 株 1.8% 487 本 376 本
楽天(平) 13,500 株 0.5% 135 本 109 本
いちよし(平) 8,100 株 0.3% 81 本 65 本
極東(平) 5,400 株 0.2% 54 本 43 本
松井(平) 5,400 株 0.2% 54 本 43 本
内藤(委託)       5 本
幡陽(委託)       5 本
丸三(委託)       5 本
山二(委託)       5 本
小計 2,710,000 株   27,100 本 20,249 本
OA 406,500 株   4,065 本  
合計 3,116,500 株   31,165 本 20,249 本


公開株数は、「公募株数+売出株数+OA」です。OAは、(公募+売出)の最大15%までの規定があり、エッジテクノロジーのOAも15%です。
OAが実施されない場合もありますが、実際はほぼ実施され、エッジテクノロジーも実施されました。

個人への配分総数とは、抽選配分・裁量配分の合計で、個人とは個人投資家(IPO愛好家)です。個人への配分された 20,249本は、全体の65%
つまり、公開株数の35%が、個人投資家であるIPO愛好家に回ってこなかったということになります。

委託幹事の4社は表には現れませんが(まさに裏幹事ですね)、目論見書等に記載されている「引受人は、上記引受株式数のうち、2,000株を上限として、全国の販売を希望する引受人以外の金融商品取引業者に販売を委託する方針」に基づいて割り振られたものです。

他のIPOはどうなっているのか?

同等に2022年2月度IPOの状況を見てみましょう。

上場日 銘柄 主幹事 総単元数 個人への配分総数 %
2月3日  Recovery International 岡三 6,296 本 5,007 本 79.5%
2月4日 セイファート みずほ 8,574 本 6,460 本 75.3%
2月9日 ライトワークス エイチ・エス 3,680 本 3,638 本 98.9%
2月17日 エッジテクノロジー 日興 31,165 本 20,249 本 65.0%
2月22日 CaSy SBI 24,33 本 1,838 本 75.5%
2月24日 BeeX 大和 3,622 本 2,542 本 70.0%
2月25日 マーキュリーリアルテックイノベーター SBI 6,150 本 4,531 本 73.7%


ライトワークスの個人への配分率が98.9%と高いですね。主幹事がエイチ・エス証券なのですが、この「エイチ・エス証券は個人への配分が多い」傾向があります。ある意味、IPO愛好家に優しい証券会社と言えますが、「もう少し主幹事が多ければ!!」ですよね。f(^^;)

上記の平均配分率は 76.9%ですが、エイチ・エス証券を除くと 73.3%になります。

管理人の独り言

 「IPO愛好家へ届かない公開株」の実態を分析してみました。OA株数はたいてい15%あります。個人への配分総数は平均値で見ると、OA株の約2倍がIPO愛好家(抽選配分組・裁量配分組)に届かない公開株ということです。f(^^;)

個人投資家以外とは、機関投資家を指すのでしょう。毎回、かなりの公開株が機関投資家へ自動的に配分されているようです。機関投資家は個人投資家とは比較にならないほどの手数料を、証券会社に落としているので、個人より優遇されます。
管理人も、個人投資家、IPO愛好家の一人です。「機関投資家が優遇されるのはしかたがない」と理解できますが、個人的にはちょっと面白くありません。f(^^;)

厳密に言えば、大和証券であればCONNECTに回っている分もあるので、機関投資家へOA株の約2倍が回っているのではありません。ともあれ、かなりの公開株が個人に回ってこないということです。

 何とかしてIPOに当選したいと、IPO愛好家はBBへ参加します。実際は、このような仕組み・構造の上で、申し込んでいるのです。
今回は、マネー雑誌等のメディアには書かれない”IPOのカラクリ”を記事にしてみました。知ったからといって何も変わりませんが、自分が行っているIPO投資の真の姿を知っておくことも必要ではないかと思っています。


では、また(^^)/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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