【№1658】
強気の仮条件は、初値が高騰するとかですか?
初歩的な分析じゃが、興味があるじゃろ!!
はじめに
仮条件が想定価格を上回れば、強気。逆の場合は、弱気。・・・ などと言われます。では、強気の仮条件がついたIPOは、初値も高騰するのでしょうか? 気になりましたので、仮条件の価格帯と初値の関係を調べてみました。(^^)
管理人は、発表された仮条件を以下のように分類しています。
仮条件の分類
ステータス | 仮条件の価格帯 | 備考 |
① ② ③ ④ ⑤ |
仮条件下限>想定価格 仮条件下限=想定価格 仮条件上限>想定価格>仮条件下限 仮条件上限=想定価格 仮条件上限<想定価格 |
かなり強気 強気 微妙 弱気 かなり弱気 |
仮条件は、どのステータスが多いのか?
2022年度IPO 仮条件ステータス数
ステータス | ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | 計 |
IPO数 | 2 | 17 | 9 | 23 | 9 | 60 |
※2022年10月28日までに上場し、初値がついたIPOを対象とする
仮条件ステータスは、②+④で66.6%と全体の2/3を占めています。微妙な③を除いて、強気(①+②)は31.6%。弱気(④+⑤)は53.3%。つまり、仮条件は大きく「強気・弱気」に分かれ、「弱気の方が、強気より圧倒的に多い」とうことになります。
★想定価格は、主幹事証券会社が予想EPSと類似企業のPERから「適正株価」を計算し、「20~40%」割引して決められます。
★仮条件は、株価算定能力が高いと思われる機関投資家や他の幹事証券会社などのヒアリング結果、類似会社との比較、マーケット環境、上場日までの期間における価格変動リスクなどを総合的に勘案。 そして、主幹事会社と新規公開予定の会社が協議を行ったうえで決定されます。
2022年度のIPOで弱気の仮条件の方が圧倒的に多いということは、いろいろ考えられますが、機関投資家から厳しい意見が多いのかもしれませんね。f(^^;)
それでも、公開価格は仮条件の上限で決定します。つまり、仮条件が⑤以外(51社:85.0%)は、計画通り資金が調達できたわけす。新規公開予定の会社側は、めでたしめでたしです。(^^)
※2022年度IPO(60社)の公開価格は、57社(95.0%)が仮条件の上限で決定しています。
仮条件と初値の関係は?
それでは、仮条件と初値倍率(騰落率)を見てみましょう。各仮条件ステータスと初値倍率(上限・中央・下限)を価格帯別グラフにまとめました。
※初値倍率が1.00未満(青)は、公募割れ
仮条件がどのステータスでも、初値倍率が高い・低いIPOがあります。そのためここでは、中央値(オレンジ)を見ていただきたい。強気の仮条件(①②)は、それ以外よりも初値倍率が高い状況です。となれば、強気の仮条件は、初値も高騰することになります。
しかし、仮条件の上限が想定価格より高ければ高いほど、初値倍率の中央値も高いかというと、一概には言えません。微妙な仮条件③より、かなり弱気の⑤の中央値の方が高いのです。これはもっと深掘りしてみなければいけません。f(^^;)
仮条件③④⑤の初値倍率(中央値)は、なぜ低いのか?
2022年度IPO 仮条件ステータスと公募割れ数
ステータス | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 計 |
IPO数 | 2 | 17 | 9 | 23 | 9 | 60 |
公募割れ | 0 | 0 | 3 | 6 | 3 | 12 |
発生率 | 0.0% | 0.0% | 30.0% | 26.1% | 30.0% |
意外と単純な要因で、仮条件③④⑤には公募割れがあるため、初値倍率(中央値)が低くなります。では、この公募割れを除いて仮条件と初値倍率(騰落率)を出してみると ・・・ 。
前段のグラフとの違いは、③④⑤の中央値と下限がアップしている点です。こちらのグラフの方が、仮条件と初値倍率の関係「仮条件の上限が想定価格より高ければ高いほど、初値倍率の中央値も高い」傾向があることが良くわかります。意外に⑤の中央値が、高いのですが ・・・ 。f(^^;)
IPO愛好家が最も恐れるのは、当選IPOの公募割れ。この点では、BB時点で仮条件③④⑤には注意が必要になります。
しかし、強気な仮条件(①②)より微妙・弱気な仮条件(③④⑤)の方が多く、初値倍率(上限)も高い。逆転の発想をすれば、公募割れさえ回避できれば、そこそこ儲けられそうに思えてきます。・・・ と言っても、IPO投資は当選しないと始まりませんが!! f(^^;)
以上で、仮条件と初値の関係分析は終了です。今年のIPOが終了したら、年間データでの分析、昨年度との比較分析でもやってみましょう。(^^)
管理人の独り言
話は変わりますが、最後に ・・・ 。
読者様は、この分析のどの部分に時間がかかったと思われますか? 仮条件のステータス分類、初値倍率の上限・中央・下限等のデータの集計は、データ自体は日々記録しているものなので、そんなに難しくはありません。
実は、グラフ化にけっこう時間がかかりました。前段の「仮条件と初値倍率」のグラフは、ちょっと株式のローソク足に似ていますが、このグラフ化に手間取りました。
最初に作成したグラフはこれです。
このグラフでは、いまいちです。管理人のイメージは、いわゆる価格帯グラフ。ローソク足のようなイメージでしたので、これは失敗作です。(>_<)
しかし、Excelでこの価格帯グラフの作成方法を知りません。そもそもExcelで作成可能かどうかさえわかりません。調べて、試行錯誤して完成したのが、前段の「仮条件と初値倍率」のグラフなのです。
仮に管理人がこの分析ブログを始めなくても、IPOの分析を個人的に継続していたと思います。個人的には、失敗作のグラフでも要件を満たしているので問題ありません。しかし、分析ブログのグラフとしては、これでは見栄えが悪い。グラフにもいろいろな種類がありますが、一目で特徴がわかるグラフが理想です。どうしても、ローソク足のようなイメージのグラフにしたい。
「必要は発明の母」という、ことわざがあります。管理人がブロガーでなければ、今回ローソク足グラフもどきを苦労して作成しようとは考えもしなかったと思います。
ブログの継続で新しい知識(新たなグラフ化)を得ました。昨日までできなかったことが、今日はできる。面倒くさいブログ運営ですが、ある面ブログもけっこう刺激的ですね。!(^^)!
では、また(^^)/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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