【№1145】
この12月上場ラッシュで、上場中止が出てしまいました。
“ZEALS“からプレスリリースが出ていますが、中止理由は何だったのでしょうか?
中止理由は様々じゃが、BB状況が気になる。
今回は趣向を変えて、上場中止に至った背景・BB状況の分析をしてみようではないか!!
上場中止の理由 ・・・ なにこれ?
読者の皆様もご存知の通り、12月23日上場予定の株式会社 ZEALSが、15日に上場中止を発表しました。抽選結果の発表も15日でしたので、ギリギリの発表でしたね。過去、結果発表、公募価格決定後の中止もありましたので、最悪のケースは回避されました。
同社のプレスリリースは以下の通りです。
募集株式発⾏及び株式売出しの中⽌と、それに伴う上場⼿続き延期に関する
取締役会決議のお知らせ
2021年11⽉17⽇開催の当社取締役会において決議いたしました当社普通株式の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う公募による募集株式発⾏及び株式売出しについて、2021年12⽉15⽇開催の当社取締役会において、最近の株式市場の動向など諸般の事情を総合的に勘案し、当該募集株式発⾏の中⽌を決定するとともに当該株式売出しの中⽌を承認し、それに伴い当社普通株式の東京証券取引所マザーズ市場への上場⼿続きを延期することを決議いたしましたので、お知らせいたします。 なお、当社は適切な上場時期を引き続き検討してまいります。以上 |
上場の中止理由も様々ですが、昔は「内部統制等、社内体制に問題が見つかった」が多く、最近は「業績等に影響を与える可能性のある事象が発生」が多くなっています。
興味深いのは、上場中止理由の「最近の株式市場の動向など諸般の事情を総合的に勘案」です。今回の中止理由は、初めて見るような気がします。※管理人の認識違いだったらご容赦を願います。f(^^;)
“ZEALS” BB状況は?
上場を中止した本当の理由なんてわかりません。後日、公表されることもありません。しかし、同社のBBがどんな状況だったかは、気になりますよね。f(^^;)
多くのIPOブロガーさんがZEALS上場中止の記事をアップしています。「BBが積み上がらなかったのでは?」のご意見・ご考察もありました。
最終的に上場が中止されたため、BBがどのような状況だったかは不明です。今回は趣向を変えて、BB状況を分析(推測・考察)してみたいと思います。
※BB状況は、目論見書(訂正事項分)の最終版に記載されますが、上場中止のため発行されず。
ー 国内・海外販売株数・比率 -
国内 | % | 海外 | % | 計 | |
公募 | 2,500,000株 | 100% | -株 | -% | 2,500,000株 |
売出 | ?株 | ?% | ?株 | ?% | 4,912,800株 |
OA | 1,111,900株 | 100% | -株 | -% | 1,111,900株 |
計 | ?株 | ?% | ?株 | ?% | 8,524,700株 |
上記は、当初の販売予定(計画)です。肝心の国内・海外販売株数・比率は不明のままですが ・・・。
目論見書(訂正事項分)を丹念に見ていくと、上場中止の発表前日(12/14)の訂正版に驚くべき記載がありました。
ー 売出株数についての記載 -
売出数については、売出価格決定日(2021年12月15日)において、需要状況によって売出株式数が4,630,000株程度減少し、当初予定の4,912,800株から280,000株程度となる可能性があります。また、売出価格決定日(2021年12月15日)において、売出人の数が減少する可能性があります。 |
ー オーバーアロットメントについての記載 -
オーバーアロットメントによる売出しに係る売出数については、売出価格決定日(2021年12月15日)において引受人の買取引受による売出しに係る売出数が減少した場合には、それに伴って本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る株式の合計株数の15%以内の株式数まで減少する可能性があります。 |
上記の記述は、売出株数 4,912,800株を国内・海外向けに販売する予定でしたが、▲94.3%も減らす可能性がある。OAのMAXは、規定上(公募株数+売出株数)の15%。今回はその15%でしたので、15%以下まで減らす可能性があるということです。
※売出株数が減れば当然減らさなければいけませんが、・・。f(^^;)
何が起こったのか?
ZEALSの初値は、当初から期待できるものではありませんでした。事業は「チャットボットを活用したチャットコマース事業」。これ自体は特に問題はないでしょう。業績と5社同日上場が、マイナス要素でしょうか。
しかし、売り圧力を見ると、1.5倍解除なし。ロックアップなしが44万株ありますが、これらは第三者割当で継続所有を確約しています。つまり、売り圧力はないのです。
マイナス要素はありますが、売り圧力はゼロ。いくらなんでも、売出株数を▲94.3%するほど国内外のBBが積み上がらなかったとは、考え難いですね。… あらら f(^^;)
実は、BB状況について大和証券に聞いてみました。ZEALSの主幹事は、大和証券。そして、管理人の口座は大和証券の店頭口座です。担当営業さんにBB状況を聞いてみたわけです。
内部情報ですから正直に教えていただけるものではありません。しかし、担当営業さんからは「問題なく(苦労なく)さばけましたよ!!」です。あくまで、国内向け販売ですが、・・・。
では、売出株数の▲94.3%を深掘りしてみましょう。
売出株数 4,912,800株は、7名の株主(大株主上位7名)から売り出され、内訳は VC:3社、東証一部上場会社:3社、残りは同社の代表取締役。
VC所有は、3社の 2,052,400株(41.8%)と94.3%には足りません。株主の筆頭は、株式会社フリークアウト・ホールディングス[6094]で、1,864,300株(37.9%)。加えてもまだ足りません。これ、7人の株主全員が関与しなければ、▲94.3%には届かないのです。
何が起こったのかはわかりませんが、管理人は上場中止理由・背景を以下のように考えます。
「もう少し、会社を大きくしてから、業績が上向きになってから上場 ・・・」。または、「スタートダッシュには適さない状況(最近の株式市場の動向)・・・」と、上場時期について大株主から何かしらの意見があったのではないでしょうか?
それとも、同社の経営上に大問題が見つかった。上場後に発覚すると大暴落するような大問題が、・・・ なんてね。… あはは f(^^;)
上場中止理由・背景は何でも良いのですが、少なくともBB状況は悪くはなかったと考える次第です。
目論見書の記載内容から考察
目論見書は訂正事項分を含めて、最低3回発行されます。①新規上場承認時、②仮条件決定時、③公募価格決定時。想定価格・仮条件・公募価格とポイントになる価格決定のタイミングですね。
目論見書記載内容は定型文なのですが、価格の記載箇所に微妙に違いがあります。
③目論見書(公募価格決定時)
発行価格は、ブックビルディング方式によって決定いたしました。その状況については、以下のとおりであります。 発行価格の決定に当たりましては、仮条件(*円~*円)に基づいてブックビルディングを実施いたしました。 当該ブックビルディングの状況につきましては、 ①申告された総需要株式数は、公開株式数を十分に上回る状況であったこと。 ②申告された総需要件数が多数にわたっていたこと。 ③申告された需要の価格毎の分布状況は、仮条件の上限価格に集中していたこと。 以上が特徴でありました。 上記ブックビルディングの結果、公開株式数以上の需要が見込まれる価格であり、現在のマーケット環境等の状況や最近の新規上場株に対する市場の評価、上場日までの期間における価格変動リスク等を総合的に勘案して、*円と決定いたしました。 なお、引受価額は*円と決定いたしました。 |
上記①と②は必ず記載されますが、仮条件の上限で公募価格が決定しないと③がありません。まぁ、今回は上場を中止したので公募価格決定してないので、最終版は発行されませんでしたが、・・・。
②目論見書(仮条件決定時)
発行価格はブックビルディング方式によって決定いたします。 仮条件は*円以上*円以下の価格といたします。 当該仮条件は、当社の事業内容、経営成績及び財政状態、当社と事業内容等の類似性が高い上場会社との比較、価格算定能力が高いと推定される機関投資家等の意見及び需要見通し、現在の株式市場の状況、最近の新規上場株の株式市場における評価並びに上場日までの期間における価格変動リスク等を総合的に検討して決定いたしました。 なお、当該仮条件は変更されることがあります。 当該仮条件による需要状況、上場日までの価格変動リスク等を総合的に勘案した上で、*年*月*日に発行価格及び引受価額を決定する予定であります。 需要の申告の受付けに当たり、引受人は、当社株式が市場において適正な評価を受けることを目的に、機関投資家等を中心に需要の申告を促す予定であります。 前記「2 募集の方法」の冒頭に記載のとおり、発行価格と発行価額(*円)及び*年*月*日に決定する予定の引受価額とは各々異なります。募集株式は全株を引受人が買取ることとしており、発行価格と引受価額との差額の総額は、引受人の手取金となります。 引受価額が発行価額(*円)を下回る場合は株式の募集を中止いたします。 |
「なお、当該仮条件は変更されることがあります。」いう記述がある場合とない場合があります。申し訳ありませんが、この違いは管理人にはがわかりません。f(^^;)
ZEALSの目論見書には、「当該仮条件は変更されることがある」と書いてあります。仮条件が変更されるケースはほとんどありませんが、仮条件(1,220円~1,420円)から更に下方修正しようとしたら、引受価額が発行価額(1,037円)を下回る可能性が出てきた。だから、株式の募集を中止した。
そんなことありますかね? ・・・ う~ん f(^^;)
では、また(^^)/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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