【考察】仮条件が低く設定されたので、上場を中止･延期しよう？

【№1825】

冒険者

上場中止・延期の理由ってなんですか？

大賢者

いろいろあるが、「資金調達が計画通りいかない」というのもありそうじゃな!!

仮条件決定のプロセス

　上場承認後に、機関投資家に対してロードショー（Road Show）が行われます。ロードショーとは、株価及び需要に対する意見聴取を目的として、上場する会社の経営陣が銀行や保険会社などの30～40の機関投資家に対して行う事業内容等のプレゼンテーションです。

ロードショーで会社側は、会社の強み・特徴はもちろんのことですが、設立から現在までの経緯（歩いてきた道 = Road）と、上場後の成長計画を説明（Show）します。なるほど、だからロードショーと言うのか!!　これで納得です。(^^)

機関投資家は、ロードショーの内容、財務情報、想定価格などから、公開価格・上場後の株価に対する意見や株式の購入意思、需要見通し（いくらで何株買いたいか）などを示します。

今後、変更になるかもしれませんが、現在のところ公募価格（公開価格・売出価格）は、仮条件の範囲内で決定されます。･･･で、誰が仮条件を決める（設定する）かというと、ロードショーにおける機関投資家の意見を考慮して主幹事が決定します。

ということは、ロードショーに失敗すると、仮条件が低く設定され調達金額が少なってしまうかもしれません。会社側は、必死になってロードショーに取り組むことでしょう。

　なお、主幹事は上場する会社に対して、仮条件の価格や設定理由などの説明は行いますが、基本的に会社側に交渉する余地はないとのこと。厳しいですね。

結果的に、提示された仮条件でIPOの目的（資金調達等）が達成できない場合は、上場の中止・延期という判断をするケースもあるということです。･･･あらら f(^^;)

2022年　上場中止･延期を発表した会社

2022年上場中止･延期一覧

上場予定日	銘柄	想定価格	仮条件	上場中止発表日
2/4	ﾋﾞｯｸﾞﾂﾘｰﾃｸﾉﾛｼﾞｰ	5,000円	未発表	仮条件発表日
2/22	ﾉｰｻﾞ	2,020円	未発表	仮条件発表日
3/4	ﾄﾘﾌﾟﾙｱｲｽﾞ	1,800円	未発表	仮条件発表日
3/18	Repertoire Genesis	1,640円	750円～1,050円	抽選発表日
3/24	住信SBIﾈｯﾄ銀行	1,920円	未発表	仮条件発表日
3/30	AnyMind Group	1,150円	未発表	仮条件発表日
4/25	ｲﾝﾌｫﾒﾃｨｽ	1,150円	未発表	仮条件発表日
6/23	ｳｪﾙﾈｽ･ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝｽﾞ	2,070円	未発表	仮条件発表日
12/12	AnyMind Group	970円	970円～1,000円	抽選発表後

2022年再トライで上場した会社

上場日	銘柄	想定価格	仮条件	公募	初値
5/31	ﾄﾘﾌﾟﾙｱｲｽﾞ	880円	800円～880円	880円	2,200円

管理人の独り言

　毎年、上場中止･延期はそれなりにあります。2022年も、8社（9回）ありました。多くが、仮条件発表日に上場中止･延期を発表しているので、主幹事が上場する会社にどんな仮条件を設定したのか不明です。

なぜ、上場中止･延期の発表が、仮条件発表日なのか？

・”トリプルアイズ” は、上場中止発表後、わずか3ヶ月22日で上場という驚異的なスピードでしたが、想定価格をかなり見直しています。
・”AnyMind Group” も二度目の上場中止･延期をしましたが、想定価格を見直しています。
・”Repertoire Genesis” の仮条件は、想定価格から大きく下振れしています。
この辺から、仮条件発表日に上場中止･延期を発表する理由、どのような仮条件だったのか、がなんとなくわかりますね。

上場中止･延期の発表には、当り障りのない理由が書かれています。しかし、本当は仮条件が低く設定され、計画通りの資金調達ができないため、上場中止･延期した会社もありそうです。f(^^;)

ロードショーの結果も公開されません。ロードショーに参加した機関投資家は誰だったのか、どのような評価だったのかは不明なのですが、BB時の判断材料になるので是非とも知りたいものです。読者の皆様も、そう思いませんか。

　2022年IPOを振り返ってみて、上場中止･延期は9回ありました。つまり、せっせと書いてアップした上場承認記事も9回あったわけです。「時間と労力を返してくれー!!」と言いたい。”AnyMind Group” などは、みずほ証券（主幹事）で当選していただけに、「コノヤロー!!」です。これがほんとの、管理人の独り言（愚痴）でした!! (^^)