【分析】”IPOのカラクリ” IPOの抽選枠は、「割当株数×抽選配分率」ではない!!

【№1356】

<strong>冒険者</strong>
冒険者

薄々気づいていましたが、ここまでストレートに言われると ・・・。

<strong>大賢者</strong>
大賢者

実際その通りなので、しかたがなかろう。

抽選配分数(抽選枠)の考え方

 今回は「IPOの抽選枠は、割当株数×抽選配分率ではない!!」と題して、IPOのカラクリについて解説します。

総合証券会社の野村證券・みずほ証券・大和証券・SMBC日興証券などの抽選配分枠(抽選枠)は、販売予定の10%。ネット証券、特にマネックス証券・楽天証券などは100%と言われますが、これは各社のIPO抽選ルールがベースになっています。

みずほ証券・マネックス証券の「募集等に係る株式等のお客さまへの配分に関する基本方針」は、以下の通りです。

当社が配分する数量のうち、個人のお客さまへの配分予定数量の10%以上を当該抽選に付すことといたします。

みずほ証券「募集等に係る株式等のお客さまへの配分に関する基本方針」

新規公開株のお客様への配分は、配分の機会を公平に提供するため、原則として、当社の配分数量の全てを抽選により配分先を決定いたします。

マネックス証券「募集等に係る株式等のお客さまへの配分に関する基本方針」


実際の抽選配分率を、”セイファート”(9213)で確認してみましょう。※2022年2月4日 JASDAQへ上場
日本証券業協会「新規公開に際して行う株券の個人顧客への配分状況」は、以下の通りです。


証券各社は、間違いなく各社IPO抽選ルールにしたがって抽選配分を行っているようです。(^^)
なお、10%以下になることもあります。初値が公募割れするリスクが高いIPOなどは、BBが積み上がらないことがあります。当初10%の抽選配分枠を用意したが、BB参加率が悪く9%の申込しかない場合などは、上記「抽選割合」は9%になります。
抽選割合が10%未満のIPOは、全プレ(申込者全員当選)ということですね。f(^^;)

抽選配分数(抽選枠)の実態は?

ー IPOの抽選枠 「割当株数×抽選配分率」 -

“セイファート”の取扱証券会社別・配分総数・抽選配分・配分率
(A)

取扱証券 幹事 配分総数 抽選配分 配分率
みずほ証券 主幹事 61,28本 651本 10.6%
大和証券 平幹事 110本 15本 13.6%
岩井コスモ証券 平幹事 67本 7本 10.4%
いちよし証券 平幹事 67本 8本 11.9%
マネックス証券 平幹事 67本 67本 100%
  6,439本 748本  

(B)

取扱証券 割当株数 割当株数÷100株 抽選配分 配分率
みずほ証券 708,500株 7,085本 651本 9.2%
大和証券 14,900株 149本 15本 10.2%
岩井コスモ証券 7,400株 74本 7本 9.5%
いちよし証券 7,400株 74本 8本 10.8%
マネックス証券 7,400株 74本 67本 90.5%
745,600株 7,456本 748本  


(A)の配分率は10%以上・100%になっていますが、(B)の配分率は10%以上・100%になっていません。
分母が「個人への配分総数」・「割当株数」の違いですが、「IPOの抽選枠 ≠ 割当株数×抽選配分率」であることがわかっていただけたと思います。

どうして、こうなるのか?

 みずほ証券の「募集等に係る株式等のお客さまへの配分に関する基本方針」では、「当社が配分する数量のうち、個人のお客さまへの配分予定数量の10%以上を当該抽選に付すことといたします」でした。

はっきり言って、この曖昧な記述が困った部分です。
①当社が配分する数量とは、「割当株数」のこと。
②個人のお客さまへの配分予定数量とは、「個人投資家への配分予定数量」のこと。
つまり、「割当株数 ≠ 個人投資家への配分予定数量」と言っています。

この割当株数と個人投資家への配分予定数量の差は、個人投資家以外のお客様ということになりますね。個人投資家以外といえば、一般的に機関投資家等になるのですが、証券会社はこの差分の行き先を公開していません。証券会社は、「推して知るべし」と言いたいのでしょう。f(^^;)

ちなみに、日本証券業協会「新規公開に際して行う株券の個人顧客への配分状況」はその名の通り、個人への配分状況(抽選配分・優遇抽選配分・裁量配分)を公開しているだけなのです。

管理人の独り言

 以上のことから、管理人の抽選枠予想は「割当株数×見かけ上の抽選配分率」にはぜず、抽選配分の過去実績から算出しています。

実際のところ、「割当株数×見かけ上の抽選配分率」で計算しても大勢に影響が出るほどの大差ではありません。分析大好きな管理人が、ちょっとだけこだわっているだけのことです。こだわって計算しても、抽選枠予想がすべて的中するわけでもありません。あらら ・・・ f(^^;)

読者の皆様には、実際の抽選配分数(抽選枠)は、「割当株数×見かけ上の抽選配分率」未満になる。個人への配分の前に抽選枠が抜かれているというIPOのカラクリがあることを知っていただければ、それで良いのです。

 さて、今回は「管理人の抽選枠予想の裏側」をネタにしましたが、これは「IPOのカラクリ」の序章(プロローグ)です。次回、本章では「IPO愛好家は初めから負け組」のタイトル(仮称)で、このカラクリの第二弾(抜かれ方の凄まじさ)をアップする予定です。


では、また(^^)/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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