【考察】”想定仮条件” って何ですか？

【№1661】

冒険者

「想定仮条件」って何ですか？

大賢者

時々出てくる文言じゃな!!
「想定価格」と、どう違うのじゃろ？

はじめに

“サイフューズ”の想定価格は？

有価証券届出書提出時における想定仮条件(1,470円～2,020円)の平均価格(1,745円)で算出した場合、国内募集における発行価格の総額(見込額)は2,181,250,000円となります。
サイフューズ　目論見書　または、有価証券届出書

　普通は、想定発行価格と記載されるはずですが、想定仮条件の平均価格となっています。赤字上場の “ベースフード” は、こんな記述です。

有価証券届出書提出時における想定発行価格（950円）で算出した場合、本募集における発行価格の総額（見込額）は2,586,945,000円となります。
ベースフード　目論見書　または、有価証券届出書

　想定仮条件とは、「想定発行価格と仮条件を足して二で割ったような文言」ですね。ところが、「想定仮条件とは」で調べてみても出てきません。
想定仮条件とは、いったいなんなのでしょうか？　また、想定価格でなく、想定仮条件とはどのような場合に使われるのでしょうか？

想定発行価格とは？

今更ですが、そもそも想定価格とは？　算出方法は？

★想定価格
　株券等の募集又は売出しに係る有価証券届出書に記載される発行価格の総額又は売出価格の総額の見込額の基礎となる当該株券等の発行価格又は売出価格をいう。

★仮条件
　引受会員がブックビルディングを行うに際して投資者に提示する募集若しくは売出しに係る株券等の価格等又はブックビルディングもしくはプレ・マーケティングを行うに際して投資者に提示する募集に係る社債券等の発行価格等の範囲をいう。
日本証券業協会　有価証券の引受等に関する規則

　要は、想定価格（または、想定発行価格）とは、「上場が承認されたときに付けられる仮の株価で、主幹事証券会社が予想した投資家が買ってくれそうな価格」です。

想定価格 = 適正価格 – デスカウント価格

適正株価 = 予想EPS × 類似企業のPER

予想EPS　：　1株あたり純利益

想定価格が出せない？

　適正価格には、「上場申請した期の予想EPS」を使います。仮に1株あたり純利益がマイナスの場合、適正価格もマイナスになってしまいます。結果、マイナスの想定価格はあり得ないので、想定価格が算出できないことになりそうです。

今期（上場申請した期）の最新EPS

	サイフューズ	ベースフード
1株あたり純利益	▲203.61円	▲12.31円

※サイフューズ・ベースフードは、今期（2/4期）のEPS

　主幹事主権会社が、上場申請した期の予想EPSをベースに適正価格を算出するのですが、2社とも最新（2/4期）のEPSはマイナスです。しかし、赤字継続中で黒字化が見えない “ベースフード” は、前段の通り想定仮条件でなく想定発行価格の記述。う～ん f(^^;) ですね。

ー　適正価格にも例外がある　－

・上場申請した年の予想EPSが赤字
・成長性が非常に高いビジネス

上記の条件に当てはまる場合、上場申請をした期の予想EPS（1株あたり純利益）を使うと、マイナスの適正株価になったり、実態より低い株価になることがあります。これでは想定価格が計算できないので、例外として次の計算方法のどちらかを使います。

・「翌年以降の予想EPS」を使って計算する
・将来生み出すと予想される利益の合計額を、現在の価値に戻して計算する　

管理人の独り言

　「“ベースフード” は、例外が適用されて想定発行価格と記載された。”サイフューズ” は、適用されなかったため想定発行価格でなく、想定仮条件と記載された？」･･･と、考えてみました。
いろいろと調べましたが、最終的に「想定発行価格でなく、なぜ想定仮条件と記載されるのか？」は、わかりません。この辺がお詳しい読者様がいらっしゃいましたら、是非ともお教えいただきたいものです。<(_ _)>

　上場申請をした期の予想EPS（1株あたり純利益）がマイナスなのは気になりますが、想定発行価格・想定仮条件にそこまで拘る必要は、ないのかもしれません。

2018年6月19日に東証マザーズへ上場したIPOといえば、”メルカリ”（4385）。赤字継続状態での上場でしたが、公開価格 3,000円に対して、初値は 5,000円（公募の1.67倍）。