【分析】”同時上場社数”と”公募割れリスク”

【№1153】

<strong>冒険者</strong>
冒険者

年間のIPOが多ければ当選のチャンスも増え、IPO愛好家には嬉しい話です。
しかし、大量上場に「弊害」とも言うべき「副作用」が出てきてしまいました。
記録的な同日上場社数と公募割れ。相関関係はどうでしょうか?

<strong>大賢者</strong>
大賢者

単純な分析だが、同日上場社数と公募割れ比率を計算してみた。

記録更新の2021年12月

 2021年12月は、IPOの記録更新の月となりました。

同日上場「7社」 2003年9月18日の同日上場の最多は「6社」。※データで遡れる1991年以降

12月度月間上場数「32社」※見込3社を含む  1991年11月以降30年ぶりの多さとのこと

年間のIPOが多ければ当選のチャンスも増え、IPO愛好家には嬉しい話です。しかし、どうしても3月と12月にIPOは集中します。その結果、大量上場の「弊害」とも言うべき「副作用」も出てきてしまいました。

“同日上場社数”と”公募割れリスク”

 12月24日までに上場したIPOは、29社。しかし、そのうちの12社が公募割れです。上場を控えるIPOは3社(27日・28日の上場)は公募割れしないことを前提として、公募割れ比率を計算(分析)してみます。

なお、公募割れしなくとも、初値売却益が”JDSC”【+100円】、”Green Earth Institute”【0円】も売却時の手数料から実質的な公募割れ対象としました。

公募割れ 上場社数 公募割れ比率
12社 29社(24日までの上場社数) 41.4%
10社 26社(同日上場があった社数) 38.5%
     
0社 2社同時上場(12/16) 0.0%
0社(実質1社) 3社同日上場(12/20) 0.0%(実質33.3%)
2社 4社同日上場(12/21) 50.0%
2社 4社同日上場(12/23) 50.0%
4社 6社同日上場(12/22) 66.6%
2社(実質3社) 7社同日上場(12/24) 28.6%(実質42.9%)

分析・解析

 月間の上場数が32社(見込含む)もあれば、同日上場も多発します。特に、7社同日上場なんて記録的なことも起こりえるというものです。

公募割れの引き起こす要因は、主に3つあります。①日本株の状況(地合いを含む)、②銘柄の個別要因、③IPOの月間ペース。

公募割れしたIPOは、上記要因のどれかに該当しますが、今月の公募割れの最大要因は、「IPOの月間ペース」であることは明白ですね。f(^^;)

実際に公募割れしたIPOから、「同時上場社数と公募割れリスク」を見るために集計したのが上表です。

結論としては、「3社は微妙」で、「同時上場4社以上は、公募割れリスクが飛躍的に高まる」です。IPOの初値は地合いの影響などもあり毎回こうなるとは限りませんが、「同時上場の公募割れリスクのボーダラインは、3~4社」といったところでしょうか?
読者の皆様も、感覚的に「3社ぐらいかな?」と思われていたと思います。f(^^;)

 IPO投資の資金の主な出し手は、個人投資家です。見方を変えれば、個人マネーの規模は大きくは変わらないので、同日上場2社まではなんとかですが、3社を超えたあたりから資金が厳しくなってくるとも言えますね。機関投資家が多く参加してくれば、違った展開になるとは思いますが ・・・。f(^^;)

来年(2022年)のIPOは、市場関係者の間では100社を超すとの見方が多いそうです。例年3月・12月の上場社数が多く、同時上場も同様に多くなります。
来年度のIPO投資に、この「同日上場3~4社から公募割れリスクが高まる」をお忘れなきように!!


では、また(^^)/

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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